どこまでも緑の海のように広がる葡萄畑の片隅で、一枚一枚葉っぱを描いていく。迷子のような気分。こんな遠いところへ来て私は何をしているのだろう。何のためにでもなく、炎天下ただただ葉っぱを描く。今はこれを描くしかない。いつの間にか頭が空っぽになり、楽しくなってくる。うれしくなってくる。帰り際、葉っぱの先のつるが朝よりも延びたような気がした。